今度こそ、好きなようにしたい。
五大堂にも瑞巌寺にもほど近く、松島町の中心部に建つM邸。終の住処を建てるにあたり、Mさん夫妻は「自分たちの好きなようにしたい」という思いを強くしていました。
「僕は仙台出身なのですが、仕事の都合で長らく大阪にくらしていました。大阪の住まいも自分たちで新築したのですが、そのときは大手ハウスメーカーに依頼したこともあり、一定の規格の中での家づくりとなりました。今度こそは自分たちらしい家にしたいと考えつつ、土地探しからはじめました。インターネットでいえのわさんを見つけ、高橋さんの実直な人柄に惚れ込み、お願いしようと即決しました」(ご主人)
料理が趣味というご主人のいちばんの希望は「大きなキッチン」でした。キッチンをリビングの中心に、そして家全体の中心に据えることにして、プランがはじまりました。
くらしの真ん中に、こだわりキッチン。
目指したのは、十分なサイズがあって、フラットなアイランドキッチン。市販にない3.6m幅のシステムキッチンを探しだし、さらに石材店から天然石の天板を取り寄せて組み合わせることに。世界にただひとつ、Mさんだけのキッチンが完成しました。
「食事の3分の2は主人がつくってくれます。粉ものが得意でね。パンやケーキ、うどんはもちろん、ピザは生地からこねるし、肉まんも皮からつくるんです。主人はいっつもキッチンにいるので、相当気に入っているんだと思います(笑)」(奥さま)
キッチンを中心としたリビングは、節なしのヒノキの無垢フローリング。友人を招いたときは目の前で調理し、できたての料理を振る舞います。冬には堀ごたつに入りながらの団らんを。堀ごたつとヒノキの床のおかげで、冬場でも暖房を使う期間が短いといいます。
夫婦それぞれのリクエストを叶えて
こだわりキッチンが目を引くM邸ですが、ご主人、奥さま、双方の要望を汲みながら、住みやすさを考えた工夫がすみずみにまでほどこされています。
「僕は開き戸があまり好きじゃないんです。開閉スペースが必要だし、人にぶつかったりもするし、いろんな意味で行動を妨げるところがあって。そこで、屋内の扉はすべて引き戸にしてもらいました」(ご主人)
「私は、郵便物が屋内から受け取れるようにってお願いしました。ちいさいですが、毎日のことですからね。それから、床下収納と食品庫があるのも助かっています。買いだしではだいたい1週間分をまとめ買いするので、食料はもちろん、トイレットペーパーなどの日用品、猫のエサなどを置いておくスペースが必要なんです」(奥さま)
途中で変更もありました。当初は平屋建てを考えていたところ、2階に1部屋を設けることにしたのです。これにより、3人の娘さんたちが帰省したときもゆったり過ごせるように。それぞれの「こうだったらいいな」をコツコツと積みあげることで、本当にくらしやすい住まいが実現しました。
松島という土地を選んでよかった
ところで、Mさん夫妻が松島に移り住んだのは、2011年の東日本大震災以降のことです。海沿いの町に引っ越すことに抵抗はなかったのでしょうか。
「この土地は比較的高さがあって、震災のときも津波は免れたらしいんです。それが決め手になりました。故郷である仙台も候補のひとつではありましたが、やはり松島に比べれば土地代が高く、家づくりのほうに予算がかけられないのも悩ましいところでした。ここ松島は、観光名所にしては静かで、安心してくらせる場所です」(ご主人)
家づくりをはじめたころはまだ大阪にお住まいだったMさんとは、電話でコミュニケーションを頻繁にとりながら、お話を進めていきました。こうして松島に移り住む方のための家づくりができるのも、いえのわにとって、とてもうれしいことです。